極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
仕事はしっかりやるけれど、家に帰ればぐーたら女に変貌する私を親友の咲はいつも『梨乃は八方美人』と冷やかす。
会社の人が家でくつろぐ私を見たらきっとその目を疑うだろう。
会社ではファッション雑誌をパクッたオフィスカジュアルな服で出来る女を演出しているけれど、家では下着姿でゴロゴロしているのだ。
「ビックリした。咲、早い。六時前にもう片付けてたでしょう?」
クスッと笑みを浮かべて問えば、彼女は悪戯っぽく目を光らせた。
「ケーキバイキング行くの待ちきれなくて。うちの部長には内緒よ」
「私、今日のために一週間甘い物我慢してたの。もう十個くらい食べちゃおうかな」
今は十月中旬。
栗やさつまいも、洋梨に柿といった秋の味覚をふんだんに使ったスイーツがいっぱい並んでいるところを想像してニンマリしながら椅子から立ち上がるも、佐藤課長に声をかけられた。
「藤原さん悪いんだけど、カタログの発送頼むよ。栗田さんに頼んでおいたんだが、用事があるって帰っちゃってね」
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