【短編】俺達の事情
「なにがだよ?」


「今は女だって男に痴漢する時代だぜ? この余には痴女っていう女はゴマンといるんだよ」


「ち、痴女…」


言葉の意味は大体分かる。
でも煮え切らない思いでいっぱいだった。


「そんな時代なのかどうかは知らないけど、いろんな女の人がいるんだ。 まあ、大貴は女を知らないから、仕方無いよな」


ケーキ20個目に突入した優は、またケーキをとってきた。


「お前らは知ってるっていうのかよ」


少なくとも、大貴よりは。
と二人は声を揃えて言った。


「ところで、その女の人ってそんな感じ? 不細工だったの?」


敬之はショートケーキのイチゴを嬉しそうに食って、そう聞いてきた。


「いや、美人だった…かな、顔は」


「体は?」


「ナイスバディだったような…」


「いーじゃん! めちゃいーじゃん!! もうけモンじゃん!!」


「もうけてねーよ! 覚えてないんだから!!」


「あ…そこ重要なんだ?」


「当たり前だろ!? …てか、優!50個目たいらげてんじゃねえよ! どんだけ食うんだ!! もう出るぞ!!」


俺達は会計を済まし、ケーキ屋を出た。


絶対あの女、次あったらただじゃおかない…なんて思ってるけど、結局どうオトシマエつけてもらおうかは考えてなかった。


「もう一回やってもらえばいいじゃん!」


「そんな事できるかー!」


記念すべき童貞卒業の瞬間を覚えていないなんて…。


俺は将来働き出して、同僚とかに『お前の童貞卒業の瞬間ってどうだった?』みたいな会話にのれないって事じゃないか。


「どんな妄想だよ」


と、優にツッコミを入れられ、帰宅した。
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