千歌夏様‥あなたにだけです。〜専属執事のタロくん〜
シュル‥
サラ‥
タロくんが私の髪を解いた‥。

「‥え‥」

何‥タロくん‥いつもと違う‥

ドキン‥ドキン‥ドキン‥

タロくんが私の髪を指で梳くように触って、そのまま口に持っていく‥
恥ずかしさのあまり身体が熱くなっていく‥。

「‥な‥タロ‥くん‥髪‥どうして?」

「千歌夏‥」

タロくんがさらに近付いてくる‥
息がかかるくらいの距離‥
彼が私の耳に髪をかける。
イヤ‥何‥今までこんな風にされた事‥
タロくんが私の耳元で囁いた‥。

「なんて‥ビックリしましたか?」

「え???」

「千歌夏様が元気ないからビックリさせようと思いまして‥」

「‥‥‥今の‥全部‥?」

「はいっっ」

爽やかな笑顔をしたタロくんは、いつもの私の専属執事に戻っていた‥。

何だかわからないけれど‥担がれたのね?
フフ‥ドキドキして損しちゃったわ‥。

「千歌夏様は、そうやっていればいいんです。」

「え?」

「千歌夏様には、私がいつも一緒にいます‥。
一人じゃないですよ。
だから‥そうやって笑っていて下さい‥。」

「‥うん‥ありがとう‥」

綺麗じゃなくても明るければ‥
友達‥できるかな?

「千歌夏様は、綺麗ですから‥」

「‥え?何?」

「いえ、何でもないですよ‥
さぁ、お弁当を食べて、午後もがんばりましょう。
髪の毛、解いてしまい‥申し訳ありません。
後で綺麗に結いますから‥。」

そう言ってタロくんは、クスリと笑いながら私を見た。

「あ‥うん‥そうね‥ありがとう‥

お弁当を食べましょう‥。」

ビックリしたわ‥

タロくんが‥急に違う人みたいに見えたんだもの‥。

ううん‥違う‥
タロくんは、出会った時からずっと‥
今も‥変わらない。
ずっと優しく私を見守ってくれている。

私にはタロくんがいてくれるんだもの‥。

頑張らないと‥

タロくんがいてくれるから‥頑張れる。

私がそう思っている時‥
タロくんが私を優しい表情で見つめていた事に‥
私はまだ気がついていなかった。

「千歌夏様‥あなたは美しいです。」

彼が一人‥私の隣でそう呟いている事も‥
私はまだ、何も知らなかった‥。





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