千歌夏様‥あなたにだけです。〜専属執事のタロくん〜
千歌夏様‥あなたの執事です。
‥5年後

「‥タロくん、今日は何して遊ぶ?」

「そうだなぁ〜じゃあ‥庭園に行って花の観察をしてスケッチをして、お茶を飲むなんてどうかな?」

「えー、イヤよ‥
それって私の美術の宿題じゃない‥っっ!タロくん‥何で知ってるのよ‥」

「アハハ‥そうだね‥千歌夏が宿題をしてないって美術の先生から聞いたんだよ‥今日は美術の先生が来る日だろ?それまでに済ますておかないと叱られるんじゃないかなって‥。」

「‥そうだけど‥私はタロくんと遊びたいのっ。少しだけ遊ぼ?その後‥ちゃんと宿題するからっっ。ね?」

そう言って彼女は綺麗な瞳を俺に向けてくる。
あの日に出会った幼かった千歌夏お嬢様は、11歳となり申し分のないくらいに美しく成長している。
そして‥俺は今年16歳になる。

「わかったよ‥じゃあ、何をしようか。」

そう言いながらも彼女のお願いを断るという選択肢は最初から俺にはない。
何でも聞いてあげたいし叶えてあげたい。
それを知っているのか彼女は待ってましたとばかりに瞳を輝かせるのだ。この瞬間が、たまらなく可愛らしく思う。

そうすると‥彼女は、決まって同じ事を言う。

「やったぁ‥じゃあ‥家族ごっこ。」

「いいよ。」

「私が妹で、タロくんがお兄様役ね。」

「うん‥。」

本当‥かわいらしい。

「お兄様‥聞いて‥今日も、クラスの男の子が私に意地悪してくるの‥。」
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