千歌夏様‥あなたにだけです。〜専属執事のタロくん〜
「‥それは大変だね、一体どんな事をしてくるんだい?」

「私のノートを隠したり、髪を引っ張ったり
‥後‥私の事をブスって‥私が泣くのを楽しんでるみたいに‥でも私‥本当にブスだし‥トロいし‥はっきり言い返す事もできないから‥皆を苛つかせてしまう‥だから嫌われてしまうのは仕方ない事なんだけど‥」

彼女が悲しそうな顔を向くてくる。

「そんな事ないよ。千歌夏は、悪くないさ‥ちゃんと自分の話ができるじゃないか‥」

「そ、それは‥タロくんだから‥タロくんには何でも話せる‥から。」

そう言って俺のシャツの裾をキュッと掴んでくる。

「そっか‥」

千歌夏はかわいい‥
本当に‥

それにしても‥
小学生高学年にもなってバカなクソガキ共だ‥
きっと千歌夏の気を引きたくて仕方がないのだろう‥
ガキ故なのか、本当に低レベルなやり方しか思い浮かばないらしい‥毎回毎回千歌夏にくだらないイタズラを仕掛けて彼女の純真な心を傷つけている。
もう二度と喋れなくしてやろうか‥
千歌夏に気安く近寄るとは‥図々しいガキだ‥。

「‥タロくん?」

「‥あ、何だい?」

千歌夏が心配そうな顔で俺を見上げていた。

「‥私‥もう学校に行かないほいがいいのかしら‥
誰にも迷惑かけないように‥」

彼女の瞳から涙がこぼれ落ちた。

「‥そんな事言わないで‥大丈夫だから」

俺はいつもの様に彼女の肩を優しくさすった。

「タロくん‥」

千歌夏がいつものように俺を涙で濡らした瞳で見つめている‥

その表情が堪らなく美しい‥
千歌夏‥
君が愛おしい‥
大好きだ‥
だが‥
俺は、他の者達とは違う‥。
俺の勝手な黒い欲望で彼女を汚さない。

「いいよ‥」
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