呪イノ少女、鬼ノ少女
「ちょっとー、澪ちゃん!もうボロなんだから、勘弁してよーぅ」
「っ……!」
娘の心配ではなく、ちゃぶ台の心配をする。
「落ち着いてよね。澪ちゃんが、雛なんて構っても仕方ないでしょー?」
澪の中で何かが切れた。
ちゃぶ台を跨いで、茜のくたびれたシャツの胸ぐらを掴んで、力任せに引き寄せる。
「きゃっ…」
台に引きずり上げられるような格好になったおかげて、皿や湯飲みがひっくり返り、その中身が黄ばんだ畳にぶちまけられた。
宙を舞ったお茶の一部は、側でオロオロと見守っていた雛に掛かっていた。
「あーあー」
胸元を引っ張られたままの姿勢で、散乱した夕飯の残骸に気の抜けるような声を漏らす。
そして、ゆっくりと顔を澪の方に向けて、ギロリと睨み付けた。
「……澪ちゃん、流石に怒るわよ」
おそらく、茜の最後の警告。
だが、澪も怯まなかった。
それどころか今一度ぐっと茜を引き寄せて、睨み返してやった。
「私は、もうとっくに怒ってますよっ!」
茜は何も言わず、じっと澪を見ていた。
それから、澪の手を掴んで千切るように引き剥がした。
「チッ。透さんの忘れ形見だからって、甘い顔していれば……」
「何ですって!?」
「あのさー澪ちゃん、かなりウザイって気付いてる?」
まさに一触即発の状態。
タイプは違えど、普段滅多に本気にならない二人だ。
それだけに、一度爆発してしまえばどうなるか……。
そんな物騒な熱気を孕んだまま、夜が更けていくなだった。
*****
「っ……!」
娘の心配ではなく、ちゃぶ台の心配をする。
「落ち着いてよね。澪ちゃんが、雛なんて構っても仕方ないでしょー?」
澪の中で何かが切れた。
ちゃぶ台を跨いで、茜のくたびれたシャツの胸ぐらを掴んで、力任せに引き寄せる。
「きゃっ…」
台に引きずり上げられるような格好になったおかげて、皿や湯飲みがひっくり返り、その中身が黄ばんだ畳にぶちまけられた。
宙を舞ったお茶の一部は、側でオロオロと見守っていた雛に掛かっていた。
「あーあー」
胸元を引っ張られたままの姿勢で、散乱した夕飯の残骸に気の抜けるような声を漏らす。
そして、ゆっくりと顔を澪の方に向けて、ギロリと睨み付けた。
「……澪ちゃん、流石に怒るわよ」
おそらく、茜の最後の警告。
だが、澪も怯まなかった。
それどころか今一度ぐっと茜を引き寄せて、睨み返してやった。
「私は、もうとっくに怒ってますよっ!」
茜は何も言わず、じっと澪を見ていた。
それから、澪の手を掴んで千切るように引き剥がした。
「チッ。透さんの忘れ形見だからって、甘い顔していれば……」
「何ですって!?」
「あのさー澪ちゃん、かなりウザイって気付いてる?」
まさに一触即発の状態。
タイプは違えど、普段滅多に本気にならない二人だ。
それだけに、一度爆発してしまえばどうなるか……。
そんな物騒な熱気を孕んだまま、夜が更けていくなだった。
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