呪イノ少女、鬼ノ少女
一瞬、茜の体が僅かに強張る。


「しかし、出来すぎっすよね」


追い打ちの一言で室内の空気が一気に重苦しいものに変わるのが、澪にも分かった。


「何が言いたい」


ぎろりと眼光が鈍く光る。

だが、大和はその視線を涼しい顔で受け流しさらに続ける。


「考えてもみて下さいよ。警備の目を掻い潜って封印を解放したり、鬼祓の精鋭を皆殺しにしたり、その癖茜さんは生きている。いやいや、正直ねーっすわ」

「私が手引きしたと、そう言いたい訳」


あらぬ言い掛かりを吹っかけられた茜の口元に、鋭利な牙が覗く。

が、その顔の前に、落ち着いてと大和は両掌を差し出した。


「詠命さんも含めて、東北支部のお偉方は疑ってんすよ」


北から秋田、東京、和歌山、高知、福岡にある五つの退魔師の支部。

その秋田にある東北支部を率いるのが、鬼祓・弓引詠命だ。

口の悪い女弓兵とは茜も馴染みだが、流石に手放しに信用はしてくれない。

相手が相手だ。

退魔その全てに喧嘩を売った相手と通じている可能性があるならば、それがほんの僅かでも見過ごすわけにはいかないのであろう。


「馬鹿じゃないの。なんで私が…」

「今回ばかりは仕方ないっすよ。あいつは危険過ぎる」



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