呪イノ少女、鬼ノ少女
「はぁ…はぁ…、ひぃ…ぃっ、も…もうダメ…」


山の中に、そんな情けない声が響き渡った。

その悲鳴に反応するように、太陽の日差しを塞いで終うほどの葉がザワザワと揺れた。


「もうすぐだから頑張って!」


山を登り始めて、約一時間。

案の定、運動音痴の澪は半べそ状態だった。

足を引き摺り、雛子に支えながら何とか歩いている状態。


「ここまで体力が無いなんて思わなかった」

「…自分でも思うよ」


年下の、自分よりずっと体の小さい雛子に支えられているのが情けない。

とはいえ、雛子も雛子でこの細い体のどこに、澪を支えて山を登る力があるのだろうか。


「ふふ、もっと運動した方がいいですね」

「善処します」


心の底からそう思う澪であった。


「さあ、それよりここを登り終えたらお父さんの家ですよ」


雛子が指差す、坂道のその先を見上げた。


あの先に…。


そう思うと、澪は雛子の肩から離れて走り出していた。


もちろん、体力など残っていないから、かなり遅い。

足取りもフラフラ。

意識も朦朧として、目も霞んでいた。


大袈裟だろうが、実際澪はそれほどに体力が無い。


それでも澪は走ることをやめず、必死にゴールを目指した。
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