雨の巫女は龍王の初恋に舞う
 そこにいたのは、数人の侍女を連れた三人の女性だった。彼女たちは龍宗の姿を見て、優雅にその場で礼をとる。

「お初におもめじいたします。この度淑妃として入宮いたしました、周玉祥と申します」

「徳妃の、孟明貴です」

「賢妃、朱素香にございます」

 女性たちはそれぞれあでやかに笑むと、龍宗に頭を下げた。


 その顔ぶれを見て、龍宗の顔から表情が消える。背後で飛燕がぼそりと呟くのが聞こえた。

「なるほど。こういうことですか」

 龍宗は、軽く舌打ちをする。

(淑妃は、周尚書の娘か。確か貴族の一派だったな。孟、朱、は確か同期の……)


 どうやら、なかなか後宮に足を向けない龍宗に業をにやした官吏たちが、妃たちと顔を合わせるように仕組んだらしい。
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