雨の巫女は龍王の初恋に舞う
「陛下、わたくしたちこれからあちらの庭園でお茶会ですの。どうぞ陛下もご一緒に」

「俺は」

「それはいいですね。ぜひ、ご一緒させてください」

 即答で断ろうとした龍宗の言葉を遮って、飛燕が答える。じろりと睨まれて、飛燕は龍宗に耳打ちした。


「皇后様以外に通えとお勧めはいたしませんが、こちらの方々は官吏ともつながりが深い方もございます。せめて、お茶くらいはつきあってさしあげてくださいませ。あまり無下に断られるのも、今後の皇后様のお立場を考えれば得策ではないかと思います」

 璃鈴のため、と言われれば、龍宗も弱い。確かに飛燕の言うとおり、後宮の管理は皇后である璃鈴も大きくかかわっている。


 しぶしぶついていくと、あざやかな迎春花がきれいに並んでいる庭に、すでに豪華な卓が用意されていた。
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