雨の巫女は龍王の初恋に舞う
 では、これは私が教えなければいけないことなのか。

 必要なこととはいえ、秋華とてまだなんの経験もない乙女だ。どうやって伝えればいいというのだろう。



 一人悩む秋華をよそに、朝食の用意をしようと次々に女官たちが部屋に訪れる。彼女たちも璃鈴の首に残るしるしをちらちらと確認して、皇帝夫妻が正しく夫婦となったことを疑わなかった。



 けれど、それからしばらくの間、龍宗は璃鈴の部屋を訪なうことはなかった。

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