冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
会社の経営が悪化し経済的に厳しくなったのだ。

贅沢になれた忍は不満を表し、家庭の中はギクシャクとし始めた。良くない状況を打開する為に、疎遠だった両親に援助を求めにいった。

豊の実家は裕福で援助くらい簡単にできるから小言に耐えればいい。多少文句は言われるだろうが。

しかしことは思惑通り進まなかった。兄が邪魔をして来たのだ。

豊の仕事には何の関係もないはずなのに、しゃしゃり出て来て両親が援助をするのを止めて来た。

更に豊に起業は向いていないから和倉百貨店に入社し一従業員としてやり直せと命令して来た。

多いに不満だったが妻子を養う為には他に道はなく、豊は兄の命令通り和倉百貨店に入り、屈辱的な下積み生活を送っていたのだ。

兄への劣等感が増す出来事があった。それは妻の評判の差だ。

地味で印象が薄いと思っていた兄の妻だが、周囲からの評判はかなりよかったのだ。
豊の美しい妻を褒める者はいないが、兄の妻は賞賛される。

ほの暗い気持ちは日々募って行き、数年後には歩み寄れないほど兄弟の溝は深くなっていた。

そんなある日、思いがけなく兄夫婦が事故で亡くなり、豊が和倉家の跡継ぎとなった。
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