冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
奈月を訪ねて来る訳はないが、顔を合わすのが憂鬱だった。どこかで時間を潰して来ようか迷ったけれど、即決出来なかった為愛理に気付かれてしまった。

「奈月!」

愛理は甲高い声で叫ぶと、駆け寄って来た。こうなったら逃げられない。
諦めてその場で彼女を待つ。

「奈月、どこに行ってたの?」

「散歩に……愛理はどうしてここに?」

「私は和泉さんに会いに来たんだけど留守だって言われて。戻りの予定もはっきりしないって応対に出た使用人に言われたのよ」

和泉に会えなかったせいか、愛理の機嫌は悪かった。

「和泉は仕事で帰宅はだいたい夜の八時を過ぎるけど。愛理は仕事大丈夫なの?」

彼女は和倉百貨店に就職した。まだ新入社員だから簡単に休めないのではないだろうか。

「社長令嬢なのよ? は融通が利くに決まってるじゃない。それより」

愛理はなぜかにやりと目を細め得意げに言った。

「奈月知らないの? 和泉さん今日は休みを取っているのよ?」

「え?」

「本当に知らなかったんだ。さすが名ばかりの婚約者ね」

「でも和泉は……」

今朝スーツを着て、仕事に行くと言い家を出た。
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