冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
決断
その後、和泉は予告通り積極的に奈月に関わるようになっていた。

客として広川堂を訪れるだけでなく、プライベートの食事に何度も誘って来る。

それはランチからディナーへと変化し、いつの間にかお酒の席にまで発展した。

と言っても奈月の家庭の事情から長居は出来ず短い時間に限られていたけれど。

和泉は成人しているとは思えないほどに厳しい奈月の門限について理解があった。帰宅時間を伝えれば必ず間に合うように送ってくれる。

そうやって和泉と過ごす時間は短いながらも、奈月にとって初めてと言える程の楽しいひとときで、戸惑いながら受けていた誘いを、気付けば待ち望むようになっていた。

初め会ったときから憧れていた相手に積極的に迫られ、大切にして貰っている。恋心を自覚するのは時間の問題だったのだ。

満開の桜の下で勇気を出して彼に素直な気持ちを伝えた。

「私、和泉さんを好きになりました」

彼は酷く驚き目を見開いたけれど、すぐに満面の笑顔に変わり奈月を抱きしめた。

そのとき初めてキスを交わした。

触れるだけの優しいキス。それからは会う度にキスをするようになった。
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