サンタクロースに恋をした
「でも、俺が聞いた先輩の姿とは違うな。あの人、告白されたら断らないって聞いたけど」
「それは……多分、好きな人が出来たからなんじゃないかな」
「なるほどな、確かに、そんなこと言ってたかも……」

 やっぱり、気付いてない。

「もしさ……もしだよ、平川さんと先輩が両思いになったら、安藤くんはどうするの?」
「んー……」

 安藤くんは、チョコレートを食べながら空を見て考えている。

 どんな答えが返ってくるだろう。手を離す? 知らないふりをする? 

「俺は好きな人の幸せを願うのみだな」
「それって……どういうこと?」
「平川が決めたことにただ首を縦に振る」
「……そっか」

 私も同じように安藤くんに思われたい。私の幸せを願って、笑って欲しい。平川さんと先輩がくっついてくれれば、そのチャンスが手に入る。

 ……本当にそう? あの2人が付き合えば本当に安藤くんは私のことを見てくれる? 違う。多分、違う。

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