あなたの鼓動に耳をすませて。
返事をすると同時に、鞄から本を出した。

いかにもミステリといった暗い坂の描かれている表紙だ。ずっと前から目をつけていた新作だった。

本は好きだ。
音も関係ないし、本の中なら誰にでもなれる。その中でもミステリが好きだ。
謎を解き、早く次のページを捲りたくなるあのドキドキ感が。


“怖そうな本だわ。サラさんが前読んでいた本と同じ人が書いたのね。 ”

“そうです。覚えててくださったんですね。 ”


里帆先生はいつもこんな感じだ。私が読んでた本や会話が大体覚えてくれている。それが、私も少し嬉しい。


“ ええ。じゃあ読書、楽しんで頂戴ね。勉強も分からないところがあったら遠慮なく聞いてね?”

“分かりました。ありがとうございます ”


返事すると、先生はホワイトボードを片付けて、机に向かった。書類をまとめてるみたいだ。
先生も大変だろうに、私に気をかけてくれているのがお母さんとよく似ている。

そんな事を考えながら、本の世界に飲み込まれて行った。
< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

ワケアリ王子とシェアハウス⁉

総文字数/1,207

恋愛(学園)3ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「なんだ、新しいルームメイトって女かよ。」 な、なんですって⁉ 「ね~ご飯まだ~♪?」 こき使われてばっかり! 自由な学園の王子様と… シェアハウスする事に⁉ 「こんな奴ら、大嫌いなんだから!」 …だったはずなのに 「俺さ、お前の事が…」 このドキドキは何⁉  平凡女子高生  ✕ 自由過ぎる王子達! 華の学園生活、どうなっちゃうの!?

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop