【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
私は景観の美しい緑道を通り抜け、オフィスビルの裏側から入館する。

すぐに建物内の託児所に泉を預けると、四十九階にあるホテルのバックヤードに向かい、制服に着替えた。スタンドカラーの白シャツに黒パンツは、シンプルながらモダンな印象で清潔感もあり、裏方の清掃業務でありながらもこの高級ホテルのイメージにぴったりだった。

ここは客室が四十九階から五十三階の五階のみにも拘わらず、様々なアワードで五つ星の認定を受けている、人気のホテルなのだ。

「白上さん、今日からスイートルームの清掃もお願いね」

タイムレコーダーにICカードをタッチしていると、上司の男性である矢野さんに声をかけられた。

働き始めて一ヶ月、昨日までは通常タイプの客室のみを担当していたけれど、どうやら今日からスイートルームも任せてもらえるらしい。スイートルームは通常タイプの部屋よりも清掃が大変で、チェックする部分も多く、新人はなかなか担当できない。けれど私の仕事ぶりを評価してもらえたようだった。

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