Return ー2度目の人生ー

学校に着くと時刻は9時をすぎていた。


あーぁ、完全に遅刻じゃん


始業式が体育館で行われているのだろう。
正門をくぐってもあたりはしんと静まっている。


仕方なく下駄箱へ行き、体育館シューズを取り出すと体育館へ向かった。



「それでは今年着任された新任の先生たちを紹介します」


そろっと体育館の扉を開けると、
ちょうど着任式がはじまったところだった。


あ、あの人間に合ったんだ
ていうか本当にこの学校の教師だったんだ…
 

壇上に登る先生たちの中に彼の姿を発見した
体育館がざわついている。


「え、あの人かっこよくない?」

そんな女子生徒たちの黄色い声が聞こえてきた。

 
確かに顔はかっこいいよね…


そう思っていた時、もたれていた扉が動いた。
その瞬間、扉の前に立っていた教師にバレてしまった。




「おい、お前遅刻か?あ、松原じゃないか」


声の主は元担任だが、今はそんなことどうだっていい。
昨日出会った男が実は自分の学校の教師だったなんて、そんな事実まだ受け止めきれないでいるのだ。
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