Return ー2度目の人生ー
昼休み、渋々クラスメイトからプリントを集めて職員室に向かった。
「あの、3年の松原ですけど西村先生いますか?」
「あら松原さん、珍しいわね。
先生の手伝い?やっぱりかっこいい先生だと女子生徒は変わるわねー」
手前に座っていた英語の先生に話しかけられる。
まさか私が自主的に手伝ってると思われた?
「若林先生、私は頼まれて仕方なくしてるんです。それより西村先生はどこですか?」
私は少し苛立ちを表しながら言った。
「あぁ、ごめんなさいね。西村先生なら数学準備室じゃないかしら」
頬に手をあてて答える彼女を背に
数学準備室へ向かった。
数学準備室は教室の向かいの校舎であまり立ち入る人はいない。
風が吹いてカーテンがなびく、静かな3階の廊下を進み、1番奥まで歩くと私は足を止めた。
…ここだ
コンコン
「はい」
低い声が中から小さく聞こえ、私はドアを開けた。