Return ー2度目の人生ー
チャイムの音が鳴り響くと各々自分の席に着きだす。
女子の唇が先程よりも赤く見えるのは気のせいだろうか。
「今年から皆さんの数学を担当する西村です。
よろしく。」
彼は端的に挨拶を述べるとすぐにプリントを配り始めた。
へぇ。意外と分かりやすい…
彼の計画的な授業が意外でなんだか感心してしまう。
「今日はここまで。次から小テストをするからそのつもりで、何か質問がある人?」
早口で明らかに面倒くさそうに彼は言う。
「先生、彼女とかいるんすか?」
突然、隣の席の武島が急に手を挙げて発言した。
その途端教室を沈黙が包み込む。
女子たちはキラキラとした目を先生に向けている。
「小テストで満点取ったら教えてやるよー」
彼はそう言い放ったが、
男子は大人しくなるどころか他の男子と笑い合っている。
「えーっとじゃあ松原、今日のプリントを集めてあとでもってくるように」
突然の指名に私はぽかんとして先生を見つめる。
一言言い残した先生は、さっさとざわつく教室から出ていった。
は、まさか昨日のこと言われる?
「松原さんご指名じゃん!」
不服そうな女子たちの横で武島は相変わらずうるさく、私は無視を貫いた。