崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
 急に狼狽えたように怯えだした男達は、口々に弁解しながら指先で一方を指す。その先には、目を見開き呆然と立ち尽くすジェフリーがいた。

「え?」

 アイリスは驚いてジェフリーの顔を見つめる。
どういうことか状況が全く読めない。

 一方のレオナルドは落ち着き払った様子だった。
 刃先を男の首筋に当てたまま、顔だけをジェフリーに向けた。

「と言っているが、どう弁解する?」
「これは……、でたらめです」
「何言ってやがる、この野郎!」

 ジェフリーの言葉に、お前のほうこそでたらめを言うなと男達が罵声を上げる。

「我々はある程度の証拠に基づいて捜査を行ってきた。エイル家の人間がこの男達に接触していたことも把握している」

 ジェフリー、それはお前だな?

 レオナルドの声は、低く落ち着いていて、けれど言い逃れを許さないような凄みがあった。
 ジェフリーは目を見開いたまま、レオナルドを見返す。

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