崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
 今回の真相はまだよくわからない。けれど、自分がなんらかの原因になっていることはなんとなく感じられた。

「アイリス」

 呼び掛けられたアイリスははっとして顔を上げる。険しい表情のレオナルドがこちらを見下ろしていた。

「リリアナ妃の護衛は終わってないぞ。気を抜くな」
「っ! 承知しております」

 厳しい指摘にアイリスは足に力を入れると、しっかりと頷いた。

 けれど、自分はもうこの職を辞したほうがいいのではないか。
 そんな弱気な気持ちが湧いてくるのを止めることはできなかった。
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