狼くん、ふれるなキケン!
「真矢!」
廊下の端の方から聞こえた鋭い声。
まやくん、呼ばれた……?
「げっ」
なぜか、まやくんが苦虫を噛みつぶしたような顔をしている。
状況がよくわからなくって、目を白黒させていると、すたすたと規則正しい足音とともに、私とまやくんの方へ人影がひとつ、近づいてくる。
「こんなことだろうと思った!」
女の子の声。
きっとその声の持ち主の人影が、私を囲っているまやくんの腕を勢いよく壁から引っ剥がした。
「いでででででっ」
腕をひねりあげられたまやくんの口からまぬけな悲鳴が上がる。
見事にひねりあげているのは、やっぱり女の子だった。
制服をきっちり綺麗にきこなして、さらさらストレートの黒髪をポニーテールにまとめている女の子。
「ゆっきー、痛いから勘弁してよ」
「それは真矢がちゃんと反省してから! 近原さん困ってたでしょ、見ればわかんない?」
「わかってないなあ、あえて困らせてるんじゃん」
「ほんっと、真矢のそういうところありえない!」