狼くん、ふれるなキケン!
心底うざそうにそう言ってのけた狼くんの瞳をよく見れば、まだ寝起き全開って感じだった。
髪の毛にはしっかり寝ぐせがついてるし……!
「行かないです!」
「何でだよ」
「だって、このままだと狼くん遅刻しちゃう!」
「なにそのくだらない理由」
吐き捨てた狼くん、ほんとに不機嫌だ。
たしかに私に対していつもフキゲンではあるけれど、朝イチだとその迫力がさらに増すというか……。
寝起きがわるいのもそうだし、狼くんって低血圧なのかもしれない。
「くだらなくないです……!遅刻はだめですよ!それに、健康のためにはちゃんと朝ごはんも────」
「うるさいうざい」
むくっと起き上がった狼くんは、私を押し退けて、部屋からすたすたと出て行ってしまう。
残された私は、呆然として。
それから、制服をぱんぱん、とはたく。
よかった、ベッドに引きずりこまれたり色々あったけれど、シワにはなってなさそう。