QUALIA ー最強総長×家出少女ー
鍵盤に指を置く。

ひんやりとした感触がなつかしい。

心臓が早鐘を打つ。お客さんは私をじっと見つめる。

指は覚えているだろうか?

ルナと目があった。黙ったまま、私を見つめる。

「天音を……いや…」

将冴さんと初めてバイクに乗ったときを思い出す。

あの晴れた海のようなメロディ。

今私が弾きたいのは、あのメロディだ。

そう思うと同時に、指は自然に動いた。

「おおっー!」

お客さんが声を上げる。出だしは完璧。

慧さんに続いて出た地味な私をバカにしていた人達も、声をひそめる。

弾けてるっ!

頭に浮かんだ記憶の旋律が、そのまま曲になる。

いいぞ! このまま弾けば……
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