QUALIA ー最強総長×家出少女ー
ピアノチェアに腰かける。

お客さんは雑談を始め、演奏を聴こうともしていなかった。

じっと静かに耳を澄ませていたのは、AXISのみんな。

ルナは私を見て、口を動かす。

「大丈夫」

そう言った気がした。

呼吸を整え、雑音を消す。

イメージを膨らませ、精神を充実させる。

弾いたのは、天音。

その瞬間、雑談がピタリと止む。

みんなはステージに釘付けになる。

悪くない! いける!

このまま最後まで!

しかし、あの音が聴こえ始める。

「痛っ……!」

吐き気と、耳をえぐられるような痛み。

ダメだ。曲が止まる。

意地でも指を動かす。しかしリズムは乱れ、メロディも狂っていく。
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