QUALIA ー最強総長×家出少女ー
水族館
「篤史さん! 私、気づいちゃったんです!」

いつものように、ハンカチを見てため息をついてる篤史さんに私が言う。

「そのハンカチ、海外にある有名な水族館の限定品なんです! きっと陽葵さん、お魚が大好きなんだと思いますよ!」

私が言うと、篤史さんは弱気な顔で「じゃあ、そこで新しいの買ってこっこり返そうぜ」と言う。

「もう売ってないみたいですよ?」

「え、そんな…」

絶望的な顔をする篤史さん。

「そこでこれです!」

私は水族館のチケットを二枚出した。

「昨日、オープンした水族館のチケットです。なかなか手に入らないんで、これをお詫びにプレゼントしたら喜ばれますよ!」

「それってつまり…」

「陽葵さんを水族館デートに誘うんですよ!」

篤史さんは高速で首をふった。

「できるわけねぇだろそんなこと!」
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