QUALIA ー最強総長×家出少女ー
「すいません! 乗ります!」

急いでバスに乗り込む。その日は、いつもより混んでいて、すでに満員だった。

席は空いていない。しかたなくつり革につかまり立つことにした。

前に座る人の視線が気になり、おもむろにスマホをいじる。

海外にいても、日本のサイトは見ることができた。

私の場合、現地の言葉の勉強も兼ねてポーランドのサイトを見ることもあったけど、日本の情報に取り残されて、帰国したあと浦島太郎になることが嫌で、よく日本のサイトをチェックしていた。

「なるほど。日本ではこんな芸人がはやってるんだ」

そんな感じで、どこか遠くの物語を眺めるように、ニュースやゴシップを一気にチェックしていく。

そのとき、ある事件の記事で指が止まった。

周りの音と景色の色が、一気に消えた気がした。

「え…」
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