QUALIA ー最強総長×家出少女ー
もしかすると、ルナは少年を救うことで、過去の自分を救おうとしていたのかもしれない。

ずっと過去に怯え、現実から目を背けていたルナが、ようやく踏み出した一歩。

それがルナが叶えたかった夢。誇れるような自分。

だけどルナは、そんな人生を選んだから、不幸な最後をむかえた。

もしルナがあのまま暴走族の総長であり続けたら、

私と一緒にいることを選んだら、

今頃……

「本当に、これでルナはよかったの…?」

私がつぶやく。

「ルナが違う道を選んでいたら、あのとき、もし私がルナを止めていたら、こんなことには…」

「そんなの、俺らじゃ分かんねぇよ…」

将冴さんが言葉に力を込めて言う。

「結末が悲劇だろうが、あいつが選んだ道を、あいつが生きたんだ。それが幸せだったかどうかは、あいつが決めることだよ。だけど少なくとも、後悔なんてしてねぇはずだぜ。たった四年間でも、あいつはたくさんの子供達を救えたんだから…」

しばらく沈黙が流れた。雪の降りが激しさを増し、目の前が白く染まっていく。

「降ってきたね」と颯太君。

「とりあえず、私のアパートに行こう」
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