QUALIA ー最強総長×家出少女ー
扉を開けると、中は広々とした薄暗い空間に、大型のバイクが何台も置かれていた。

静かだけど、人の気配はする。二人?

奥には大きなソファーがあって、誰かがそこに座っている。

遠くにいるのに、威圧感さえ感じるオーラを放っている。

おそらくその人が、総長のルナだ。

重苦しい緊張に、喉が乾く。

私は将冴さんの背中に隠れながら、奥へと進む。

「遅いぞ」

メガネをかけた高校生くらいの男が、将冴さんの前に現れる。

「慧、ルナに話がある」

この人が最高幹部の慧さん?

唇が薄く、あっさりとした塩顔なイケメンだ。

だけどメガネの下の目が二重で大きく、童顔な印象もある。

「その女の話か? 誰だそいつは?」

慧さんは冷酷な目で私を見下ろす。

私は思わず将冴さんの背中から前へ出る。

そのとき、慧さんと目が合った。

「なっ、美月琴葉…っ!」
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