QUALIA ー最強総長×家出少女ー
大きな木の影に腰かける。

ワインのボトルを開けると、一口飲んでみた。

「うわっ…苦すぎる…」

初めてのワインの味は、意外なほど魅力がなかった。

慣れだってきいたことあるけど、私はブドウジュースの方がいい。

「でも、どうせだから…」

一瓶、飲み干そうと頑張った。息を止めて、意地でも飲んだ。

そうすると、だんだん体が熱くなってきた。

頭も働かなくなってくる。

………もう十分、楽しめたよね。

思えば一夜にして、色々なことを経験した。

何よりも、最後にルナに会えて良かった。

ポケットから青酸カリ入りの小瓶を取り出す。

「さよなら、みんな…」

お兄ちゃんに捕まる前に、あの家に戻る前に、私はこのゲームから、降りることにするよ。

青酸カリを口に入れると、最後の一滴になるまでワインを飲んで流し込んだ。

強烈な眠気が襲い、目がまわる。

そのまま倒れ、意識が空に吸い込まれていく。

「誰…?」
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