響は謙太郎を唆す

だから、響は、高校ではは必死で隠した。
2人とも響が高校生で入学式だと気がついていなかったので、家族に隠すのは苦ではなかったんだけど、書面の家族の欄を見ただけで、学校側に響の家庭に問題があり、響自身の素行も疑われるとはさすがに思わなかった。

「でも、今回の滞納は本当サイテー。せっかくちゃんとしてきたのに、『やっぱりこんな親だから、』とかって言われて、言い返せなかった」
「うん」
「なのに、それが私の学費のためって。レンは、いつも何かズレてる」
「確かにな」
「だから、私がちゃんと勉強して、資格をとってレンを助けたい」

「うん」と優しく響を包むみたいに謙太郎が笑った。

全部丸ごと謙太郎に受け入れられたと思った。
それだけで力になる。

誰にも話していない、自分の決心が道になっていく。
しばらく、2人とも黙っていた。
謙太郎がポツリと言った。

「俺は、このままだと、正直、どうしたらいいか、分からない」
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