響は謙太郎を唆す


8月20日。
高3の登校日があった。

課題をこの日に提出するだけの予定だが、ほとんどの生徒が推薦でそのまま大学に行こうとしているので、生活態度も含めて、自覚を促すような意味合いがあるのだろう。

終業式の日に予定を聞いた時には、普通にクラス全員で顔を合わすのだろうと皆思っていたが、よくプリントを読むと、志望する学部によって集合時間が違っていた。

謙太郎の医学部は午前早め。
響は商学部希望なので午後でも一番遅い夕方だった。

登校日にすら会えない。

本当は外部受験の決心をしているから行かなくても関係ないのかもしれない。
でも、まだ何も決まっていない段階で、先生にもはっきりと話もしていないし、いかにも欠席する事もためらわれた。

響は、(謙太郎に少しでも会えるかも)と期待していた。

前日、謙太郎に自分の登校時間を送り、
[でも早く行ってもいいし、]
と、わざわざ付け加えた。
[謙太郎は何時におわる?]
とまで送った。
でも謙太郎は言わない。

会おう、って。
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