誠に不本意ではございますが、その求婚お受けいたします
第四章


律さんのお兄さんが、シンお兄ちゃんだった……。
そのことが分かった瞬間、これまで不思議だったことが全て繋がった。
私の苗字が変わったことや、引っ越しをしたことも、お兄さんなら知ってて当然だし、お店に様子を見に来てくれたのも、シンお兄ちゃんの性格なら頷ける。
家族の食事会だって、私が家族に馴染めるよう気を遣ってくれていた。
そうやって、いつも傍で私のサポートをしていてくれたんだね。
私が義理の妹になると知った時は、相当驚いたんじゃないかな?


(いや、もしかしたら知ってて律さんに勧めた……?)


なんて、それはさすがに考え過ぎかな。
律さんと私が結婚に至ったのは、偶然だよね? あの時、車とぶつかりそうになってなければ、こうしてここにいることもなかっただろうし。
うーん、でも、あまりにも縁が強すぎるというか、偶然にしては出来過ぎているような……。


「どうしたの、百花」

「え?」


考え込んでいたせいで、難しい顔をしていたらしい。
ハナちゃんが心配そうに私を見つめている。
しまった、今、お見舞いに来ているんだった。


「何でもないよ、それより体調は?」

「悪くないわよ」

「ごめんね、ここのところ忙しくてお見舞いに来られなくて」

「平気よ。百花の代わりに律くんが来てくれてたから」


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