結婚記念日 ~15年目の小さな試練 番外編(3)~
「わたし、カナと結婚できて、本当に幸せ……」

 そのままカナに抱き付くと、カナは膝を折ってバスケットを地面に下ろし、わたしを両腕で力いっぱい抱きしめてくれた。

「……ハル、それ、全部オレのセリフだよ。

結婚してくれて、ありがとう。プロポーズ受けてくれて、本当にありがとう」

 しみじみと、噛み締めるように、カナが言った。

「オレさ、改めて考えると、結構ムチャなことしてたよな?

十七歳でプロポーズして、十八の誕生日に結婚してくれって、普通やんないよな」

 その言葉に思わず吹き出す。

「……自覚あったの?」

「……ハル、ひどい」

「ひどいかな? でも、あの時のカナは、そんな事、まったく考えてなかったと思う」

「……否定はしない」

 ほら。

 くすくす笑うと、カナは

「ごめんね」

 と言ってから、違うな、と言い直した。

「改めて、ありがとう。……オレと結婚してくれて、本当にありがとう」

 ……こんなところで。

 そう思いながら、……確かに、そう思っていたのに、何故かわたしは抵抗する事もなく、木漏れ日の下、カナに抱きしめられながら、カナと長い長いキスをした。

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