王子なドクターに恋をしたら
「和泉か、珍しいな…って、え?その、子は…?」

「斗真さん、お久しぶりです。この子は僕の彼女。千雪、こちらは兄さんの友人の斗真さん。この店の若旦那だよ」

「は、初めまして」

「どうも。へえ…和泉に彼女が、へえ…」

な、何この人…和泉くんの彼女があたしなのが不満なのかしら?
顎に手を当てじろじろと見られてあたしは和泉くんの背中に隠れた。

「斗真さん、千雪が怖がってます。あんまりじろじろ見ないでください」

「お、わりぃ。やっぱお前ら兄弟だな」

「え?何がですか?」

「いや…それより何か買いに来たのか」

意味深なことを呟いた斗真さんは和泉くんの質問をかわして話を変えた。
なんとなく目を合わせたあたしと和泉くんは肩を竦めた。
兄弟だなって、斗真さんは和泉くんのお兄さんの友人と言うからお兄さんと和泉くんが似てるということだろうか?何が似てるというんだろう?
顔が?それは当たり前か。

「ちゆ、なにがいい?」

「え?ああ…」

和泉くんに促されてショーケースの中に並ぶ上生菓子に目を向けた。

「き、綺麗…」

花や葉などを模した綺麗な上生菓子が清廉と並んでいる。
こんなお菓子は見たことが無い。
中でも、丸い寒天の中に桜の花びらが舞ってるように見えるお菓子はとてもお菓子とは思えなくて目が釘付けになった。

「ちゆはこれが気に入ったんだね」

敏い和泉くんがあたしの見入ってる視線に気付いてクスリと笑う。
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