王子なドクターに恋をしたら
ふと、こちらを向いた和泉くんがあたしを見つけてふわっと笑うと、女性達の視線が今度はあたしに向いた。

「ちゆ、もう大丈夫?」

「う、うん」

我に帰って駆け寄ると和泉くんは自然な仕草であたしの頭をひと撫でして手を繋いだ。
その瞬間え?という小さな声が聞こえ視線が痛くて小さく縮こまって俯いた。

絶対、素敵な和泉くんの恋人があれ?と、思われてるに違いない。
田舎者丸出しのあたしと洗練された都会人の和泉くんは周りから見たら釣り合わない
斗浦部では気にしたこと無かったけど、ここに来ると周りの目がそう言ってるようで気になってしまう。

繋いだ手の温もりはあたしを大切にしてくれてると分かるから、好きな気持ちに疑うことはしない。けど、和泉くんはこんなあたしを選んでくれたのはなんでだろう…。
考え事をしていて和泉くんに連れられるまま歩いていたから周りをあまり見ていなかった。
和泉くんが立ち止まったので顔を上げるとそこは和菓子屋さんみたいだった。

「ここで聡子さん達にお土産買っていこう」

にっこり笑った和泉くんがお店に入ると背中を向けていた作務衣姿に短髪の男性がいらっしゃいませと振り返った。
その男性は端正な顔のなかなか素敵な人で、あたし達に気付いて目を丸くする。

< 165 / 317 >

この作品をシェア

pagetop