王子なドクターに恋をしたら
・・・・・

あたし、千雪(ちゆき)和泉(いずみ)くんと出合ったのは北国の海と山に囲まれた小さな町、斗浦部(とうらべ)町。
あたしの生まれ育った町。

春だというのにまだ雪がどっさり残り、桜のつぼみはまだ固い4月のこと。

今日は学生の頃から通ってる小高い丘上にあるレトロな喫茶店に幼稚園からの幼馴染とお茶しに来てた。

「チョーイケハーフが来たんだよ!」

「はい?」

看護師をしてる明日美(あすみ)が、興奮気味に叫ぶ意味の分かんない言葉に、病院の専門用語か何か?と思って首を傾げた。

「ハーフ!ハーフだったんだよ!今日来た先生!」

「ハーフってどういう意味さ」

「もう!日本人とアメリカ人のハーフって意味!」

「ああ、そっちのハーフね」

はいはいと興味なさ気に返事をすると明日美はぷくっと頬を膨らます。
ちゃんと聞いてよね!話したくてうずうずしてたんだから!と怒られ、わかったわかったと苦笑いで明日美の話を聞いた。

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