王子なドクターに恋をしたら

何でも明日美の勤めてる斗浦部総合病院の院長先生が腰を痛めてしまい休養を取ることになり、急きょ臨時で東京から先生を呼んだとか。

その先生が今日来たらしく、日本とアメリカのハーフで背が高くて顔が小さくて栗色の髪の毛に淡いブルーの瞳で、日本人離れした顔がめちゃくちゃかっこいいらしい。

「すっごい物腰柔らかくって優しい笑顔でさ!もう看護師全員心臓撃ち抜かれたわ!」

恋しちゃいそう!なんて、彼氏持ちのくせに何言ってんだか。

呆れてるあたしを余所に「あのこわーい看護師長まで目がハートだったんだよ!」と、興奮冷めやらない明日美の話にふーんと相槌を打ちながら、あたしは頬杖を着き窓の外を見ていた。

ここから港が見え、一艘の船が港を離れていくのが見えた。

冬の間、氷に覆われてしまうこの海はそうそう漁に出れない。
長い冬がようやく終わり氷が解けだすと眠っていた船たちが「さあ仕事だ!」と言わんばかりに動き出す。

カニ、食べたいなカニ。ホタテでもいいな。

我が町の特産品を頭に浮かべてると、ちょっと聞いてるの!?と、また明日美に怒られた。

< 3 / 317 >

この作品をシェア

pagetop