王子なドクターに恋をしたら
なんですってえっ!?
本人前になんて言い草だ!
絶句して怒りでキリキリしてると和泉くんがあたしの肩を抱いた。

「そうですよ。僕これから休憩なんで失礼します」

和泉くんはあっさり肯定して軽く一礼するとあたしを抱いたまま踵を返した。

「おい高槻!今大事な時期だって言ってるよな?女呼んで遊んでる場合じゃねーんだぞ?」

なんて酷い言い方!
背中越しに聞こえるパワハラ上司の言葉に憤る。

「ちゆ、気にしないでいいから。ごめんね」

歩きながら和泉くんが申し訳無さそうな声をかけてくれる。でも、和泉くんは何も悪くない。

「ちゆ?」

ピタっと足を止めたあたしは振り返り和泉くんの腕から逃れ一人ずんずんと歩き出した。
パワハラ上司の前まで行くと和泉くんとあまり変わらない背のやつの顔を睨み上げた。

「お?」

「あたしが勝手に押しかけてきたんです!和泉くんはちゃんとあなたとの約束守ってます!何も悪いことしてません!大体和泉くんは寝る間も無いほどほとんど病院にいるじゃないですか!どこに遊んでる暇があるって言うんですか?あなた上司なんでしょう?あなたがそれをわかってないなんて上司としてありえなくないですか!?」

「ち、ちゆ…」

一気に言い放ちぜえぜえと息を吐く。
和泉くんの困った声にあたしははっとした。

あわわっやってしまった!
やつは腐っても上司!
あたしが楯突くことで和泉くんが余計に立場が悪くなることを予想して青くなった。
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