王子なドクターに恋をしたら
「ごめんね…心配するってわかってるのにこんなことして、あたし和泉くんを困らせてばかりだよね」

~そんなことないよ、ちゆを不安にさせた僕が悪いんだ~

いつもの和泉くんならそう返す。
なのに今日の和泉くんはちょっと違った。

「そうだね、僕を試すなんて信用してない証拠だよね。ちゆには僕の愛の深さをきちんと知らしめないと」

「え?」

思わず和泉くんの瞳を覗くと、淡いブルーの瞳が鋭く光った気がした。

「そろそろ僕の本性をちゆにも知ってもらわなきゃいけない。僕は、優しくも無いしわがままで酷い男なんだ」

「いっ…和泉く…」

噛みつくようにキスをされあたしの言葉は呑みこまれていく。
あたしを押し倒す和泉くんは苦悶の表情を浮かべその手は怪しげに身体をなぞり服の中へと侵入してきた。
素直に反応する体は熱く疼き出す、でもその手をあたしは止めた。

「ちゆ、止めても無駄だよ…」

「和泉くん、あたしの事好き?」

「…」

脈絡なくあたしが聞くから和泉くんは目を丸くして息を呑んだ。
潤む瞳から涙が一筋流れると和泉くんはそれをそっと拭うように頬を包みこみあたしと額を合わせた。
祈るように閉じられた瞳。長いまつ毛がふるふると震えるのが見える。

「ちゆがいなくなってこのまま僕の元に帰って来ないかもと思ったら不安で不安で堪らなかった…」

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