王子なドクターに恋をしたら
かくして僕は斗浦部の家に帰り無事千雪を見つけて安堵で力が抜けそうだった。
僕を試そうとしたんだと泣きながら謝る千雪にちょっとだけ本性を現し怒りをぶつけるようにキスをした。
千雪が僕から離れようとしてるかもと思うだけで不安で不安で堪らなかった。
こんな思いも千雪が初めてだ。
なのに僕はまた残酷な選択を千雪に告げて一人にする。
ドイツに行き強くなって帰って来る。
もう誰にも千雪と僕の事に文句は言わせない。
ドイツにいる間千雪が僕を信じて待っていてくれると思うから頑張れた。
アメリカ研修の時とはずいぶん違う自分の気持ちの持ちように感慨深いものがあった。

一年ほど経った頃、千雪の誕生日にサプライズで帰ることにしてプレゼントは何にしようか考えた時、僕は大事なことを千雪に言っていないことに気付いた。
元々概念が無かったからその慣例を忘れていたんだ。

ドイツの高級ジュエリーショップの前で立ち止まり、じっと宝飾品を見つめて覚悟を決めて中に入った。
きっと、千雪は喜んでくれるはず。
その姿を思い浮かべるだけで僕は幸せだった。

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