王子なドクターに恋をしたら
「お前ももう23だから、親がどうこう言うのも何だが。あの先生と、その、付き合ってるのか?」

「え!?い、いや、付き合ってはいないよ。ただ知り合いになって町を案内してほしいって言われて…」

難しい顔をするお父さんに声がだんだん小さくなる。
付き合ってるわけじゃないけど、あたしの気持ちはダダ漏れらしい。
お母さんも曖昧な笑顔であたしを見上げる。

「あの先生は臨時で来てるんだろ?その内彼は東京に帰って行ってしまうのはわかってるよな?」

「うん…わかってるよ…」

お父さんは現実を見ろと言っている。

わかってる。
和泉くんとあたしは釣り合わないし、彼はすぐにあたしの前からいなくなる。
都会の喧騒に紛れてあたしを忘れていく和泉くんを想像してずんと胸が重くなった。

「…大丈夫だよ、噂の先生と仲良くなれて嬉しいけど、ちゃんと、わかってるから」

説得力の無いあたしの言葉にお父さんはそれならいいともう何も言わず、お母さんは明日楽しみねと言ってくれた。
反対せずに認めてくれた両親に心の中でありがとうと思いながらリビングを後にした。

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