王子なドクターに恋をしたら
…………


「寂しいって言わなくなったね〜千雪」

「ん〜?言ってるよ〜和泉くんに」

和泉くんが逢いに来てくれてから3週間が過ぎた。
季節は7月を迎え、北国にも短い夏が始まり今日は気温30度と暑い。
夕方の今は明日美と二人行きつけの喫茶店で暑さを凌ぐため今年初めてのかき氷を食べていた。
この後久々に会う高校の同級生数人で小さな同窓会をすることになっていて楽しみだ。

「ほんと、高槻先生の突然の来訪から千雪元気になったよね」

「うん、あの日たっぷり充電させてもらったし、我慢しないで寂しいって言えるようになって逆に楽になったんだ」

ふふふ〜と、不敵に笑うと明日美は半分呆れた笑いを浮かべていちごミルクのかき氷をパクリと食べた。

明日美にはあの日あったことを大体話してる。
キスばっかりして唇が腫れた事は内緒だけど。
本当に来たの?そんな都合よく飛行機とかあるの?なんて明日美は疑問だらけみたいだけど実際和泉くんは来てくれた。どうやって来たかなんてどうでも良かった。

あの日の夜に和泉くんに電話して逢いに来てくれたお礼を言った。
けど、どうにも不満が治まらなくてあたし顔が酷かったのになんで言ってくれなかったの?と文句を言ったら「どうして?ぷっくり膨れた唇が可愛かったよ。どんな顔してたって千雪は可愛いんだから」なんて言われて文句なんて吹っ飛んで照れてしまった。
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