王子なドクターに恋をしたら

和泉くんってこんなに甘いこと言う人だっけ?と思いながらあたしは今感じたことを言ってみた。

「和泉くん」

「ん?」

「今朝逢ったばかりなのに、もう寂しくなっちゃった…って言ったら引く?」

「引かないよ。僕も寂しいって思ってた。千雪が恋しくて今すぐ抱きしめたいよ」

「ふふっあたしも和泉くんが恋しい…。一緒だね」

「うん。一緒だよ。僕達は離れてても同じことを想ってる」

「うん。和泉くん大好き」

「僕もだよ千雪」

なんかくすぐったいな。
まるで高校生の恋人同士みたいに初々しいやりとりに恥ずかしくなって一人顔を赤らめていた。


…………


「…ぅおーい、千雪〜、どこトリップしてるわけ〜?」

「うあっ…!ああ、大丈夫大丈夫」

ついあの日のことを思い出して明日美の存在を忘れていた。
ヘラヘラ笑うと明日美は完全に呆れ顔。

「でもまあ、良かったよね。雨降って地固まるみたいに遠恋も上手くいってるみたいだし、もう少ししたらまた逢えるんでしょ?」

「そうなの!もう今から楽しみで楽しみで」

そうなのだ。
和泉くんはもうすぐ学会も終わり職場も落ち着いてくるからと、あたしとラベンダーを見る約束を果たすべく7月の終わりに休暇を取って逢いに来てくれる。

< 69 / 317 >

この作品をシェア

pagetop