翠玉の監察医 法のあり方
「とても豪華ですね」

スモーガストラタを見て蘭は言う。マルティンは「とってもおいしいよ」と言いながらサーモンや海老がたっぷり入ったスモーガストラタを口にする。蘭はそれを見た後、マルティンや圭介たちのように口に入れた。

「とてもおいしいです……」

蘭がそう言うと、「蘭、こっちもおいしいわよ」とゼルダがクロップカーコルを蘭の口に入れた。それをアーサーが慌てて「そんなに口に入れたら蘭が食べれないだろ!」と呆れながら言う。

「神楽さん、今ハムスターみたいになってますよ!」

圭介が笑い、その笑いは全員に移っていく。蘭はみんなのように声を上げることはなかったものの、胸がふわりと温かくなり、ニコリと微笑んだ。その手は胸元につけられたエメラルドのブローチに触れている。

「とっても楽しくておいしいパーティーだね!」

アーサーが言い、マルティンが「デザートにはセムラを作ったよ」と微笑む。セムラとは、スウェーデンで年明けからイースターの頃までよく食べられるお菓子で、カルダモンの入ったパン生地の間に、アーモンドペーストと甘くないホイップクリームを挟んで食べる。
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