お見合いは未経験
決めることは思ったよりたくさんあるが、真奈が思ったよりこだわりなく、判断が早いので、スムーズに進んでいた。

そこは本当に助かる。
この子を選んで本当に良かった、と思えることのひとつだ。

個室の席に着くと支配人からお祝いのシャンパンが振舞われた。
ドライバーとなる貴志や、この後も仕事が残っているという、貴広にはノンアルコールという念の入れようだ。

皆で乾杯し、場は和やかにスタートした。
正直このメンバーの日付をよく合わせることが出来たな、と言うのが、貴志の感想だ。

貴志の父も現役だし、真奈の父もだ。
貴広に至っては、よく時間を捻出できたものだと本当に思う。
家同士の一大事であることが、そのことからも伺える。

「で、真奈さんがお嫁に来てくれる、でいいんだよね?」
そう笑顔で切り出したのが、貴広で。

さすが…と思う。

今日の結納で貴志が小笠原家に挨拶に行っているので、それで間違いはないはずだが、あえての念押しをするところが貴広だ。

しかも、悪意は全く感じさせない感じの良い笑顔だ。
もちろん悪意などないはずだが。
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