お見合いは未経験
はい、冷たいうちに、とグラスを置きに来た葵の腕を引いて、抱き込んだ。
「炯さん…」

あらかた、グラスがあたたまる、とでも言いたいのだろうが、キスで唇を塞いだ。
初めは軽く腕で抵抗してきたが、濃厚なキスをするとその抵抗も収まる。

つるつるした髪の触り心地がよく、首すじから鎖骨へのラインが綺麗だ。
部屋着からすっきり出ている腕も足も、真っ白でほっそりしている。

指で辿ると、葵は炯をうっとりとした顔で見上げてくる。
「葵…可愛い…」
「…んっ…は…炯さん…いい匂いします…。」

「ん?シャワーの?」
「はい…」
「葵も、シャワー浴びたね。いい匂いする。」
「え…だいぶ時間経ってると思いますけど…」
「だから、さ…」

部屋着をすっぽり脱がせてしまう。
「ここで…?」
「寝室、行こうか?」

こくっとうなづいた葵を立ち上がらせて、抱き上げる。
きゅうっと首に掴まってくるからつい、そうしてしまうのだ。

寝室のベッドに降ろし、ベッドサイドの電気をつけると、葵がぎゅっと抱きついてきた。

「何回、したかな?」
「そんなの、数えてないです…。」
「でも、すげー、いっぱいしてるよね?でも、もっとしたい。」

そう、耳元で囁いたら、葵の身体がぴくんとはねる。
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