お見合いは未経験
「うん。土日は2人でゆっくり過ごそう。ゆっくりとは言っても、土曜日は結構いろいろ詰めちゃったけど。」
『は…はい。』

きっと、いろいろ想像しちゃってるんだろうなぁ、と思うと、可愛らしくて仕方ない。

土曜日の真奈の父親へのアポは、既に取っている。

真奈との電話を終了し、まあ、どうせ僕のことはいろいろ確認しているんだろう、というのが、貴志の予想だ。
もともと、銀行員で裏を取られるようなことをしていなかったのは、幸いだ。
恐らくは、榊原についてありとあらゆる調査をしている、と考えている。

仕方ない、よな。

とは言え、貴志自身も自分の出来る範囲内での確認はさせてもらった。

いざ、となって見合いがなかったことになるようなことは避けたいからな。

真奈の父親は経営者だ。
お互い、最初に本心など見せないことは分かりきっている。
それでも、きちんとしておきたかった。真奈のために。


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