お見合いは未経験
貴志も、真奈を紹介した。
「真奈、こちらが成嶋さんだよ。成嶋さん、彼女が僕の婚約者の小笠原真奈さんです。」
「はじめまして。小笠原真奈と申します。」

2人に対して、すっと頭を下げた真奈の姿に品を感じて、貴志は嬉しくなる。

「はー、さすが、榊原の嫁さんだよなー。」
「ホントー、品ありますよねぇ。ガラスケースにでも入れておきたい感じです。」

無条件に褒められた真奈は、そんなことないです。と照れている。

まあまあ、どうぞ、入って入って、と2人に招き入れられた。
部屋の中もスッキリしていて、シンプルなところに2人の趣味を感じた。

何より驚いたのは、吹き抜けた部屋の正面のガラスだ。

「この造り、よく日本で出来ましたね。」
「建築法はちゃんと通ってるぞ。建築士も来てるし、聞いてみろよ。うちの建築士面白い案、いろいろ持ってるし。今度組んでいろいろやる予定だから。何かあったら使ってやってくれ。」

「面白そうですね。」
「だろー。お前も噛む?」
イタズラ小僧のような成嶋の表情は、支店でもたまに見たそれだ。
相変わらずだな、と貴志は笑ってしまう。

「もう!炯さん、真奈さんがびっくりしてるじゃないですか。真奈さん、デッキにどうぞ。皆さん早くからいらしてて、もう出来上がってますけど。びっくりしないで下さいね?」
「そだな。とりあえず、紹介する。」
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